先日、母校の同窓会に参加してきました。全国からOBが集まる、年1回の大きなイベントです。

多くの企画がある中で、医学部同窓会主催の講演会を聴いてきました。

皆様ご存じの池上彰さんと「これからのAIと医療」について考えるトークセッションでした。

チャットGPTの出現により、様々な分野で仕事がAIにとって代わられるという危機感を耳にします。

医療の分野も同様で、現在でも画像診断の分野では既にAIが活躍しています。

以前のニュースで司法試験の問題をAIに解かせたら、上位10%に入る成績だったと聞いて衝撃を受けました。

この日は今年の医師国家試験をAIに解かせた結果が提示されました。

結果は従来型のチャットGPTでは不合格、最新のチャットGPT-4では合格ラインに届いたそうです。

まだ合格者の平均までは到達していませんが、上位に食い込むのも時間の問題でしょう。

一方で、医療の現場がAIの独壇場になるようなことは今後もないだろうという見方が大方のようです。

AI医師に「あなたは癌です。手術と抗がん剤で再発率を〇%まで下げられます」などと無機質に伝えられたらどう感じますか?

やはり人と人との対話の中で、医師も患者さんも病気に向き合うことが人としての生き方のような気がします。

そもそもAIはこれまで人間が築き上げてきたデータをもとに答えを出しています。それを操作するのも人間ですから、AIと勝負しようなどとは考えず(勝負して勝てるのは藤井八冠くらいでしょうか)、AIの得意なところはAIに任せて人間らしく生きたいものです。

これから働く世代の人口減が急速に進みます。AIを上手に利用して、私達は人間にしかできない能力を活かしながらこの難局を乗り越えられたらと思っています。

稲垣耳鼻咽喉科医院