今年ももうすぐ終わろうとしています。

当院も本日の休日当番をもって年内の診療を終了いたします。

先週辺りからインフルエンザ陽性者が増え始め、いよいよコロナとインフルエンザの同時流行が始まったようです。当院でもコロナと思って受診されて方がA型インフルエンザであったり、両方陽性となった方も2名程いました。ただこのタイミングで学校が冬休みに入ったことは不幸中の幸いでしょうか。

このような中で迎える年末年始、ニュースでも医療逼迫の懸念が度々報道されています。

確かに発熱者が増えれば医療機関を受診する方は増えるのですが、実際に発熱外来を担当していて感じるのは、受診された方、もしくは電話で問い合わせのあった方の中で、多くの方が結果的に受診しなくても大丈夫だったということです。

コロナ発生届の提出が必要な高齢者や妊婦さんを除く多くの方達は、コロナであってもインフルエンザであっても慌てて医療機関を受診する必要はなく、お手元に風邪薬や処方された解熱鎮痛剤があれば、2~3日お薬を飲みながら様子を見ていただくだけで徐々に回復します。

極論を言えば、発熱した場合も検査は必須ではなく、体調が回復するまで薬を飲みながら自宅で待機し、1週間程度は他人にうつさない行動を取っていただければ、医療機関も社会全体も大きな混乱は起きないかもしれません。(現在は検査キットが市販されていますので、検査を希望される方はまずはご自分で検査していただくことをお勧めします)

コロナはオミクロン株になってから軽症の方が多く、致死率も流行当初の5%程度から0.2%程度へと季節性インフルエンザ並みになってきています。ですがインフルエンザと比べて感染力が強く、また後遺症の心配もあることから罹患しないに越したことはありません。

コロナの流行とワクチンのお陰で、日本でも徐々に集団免疫がついてきていると思いますが、残念ながらコロナの抗体は3~5か月程度で低下してしまいます。その都度ワクチンを打つことも一つの対策ですが、個人的には「脱マスク」が今後の流行を抑えるカギになるのではないかと思っています。

「脱マスク」は感染抑止と逆行するようですが、ある程度免疫を持った方が日々少しずつウイルスに晒されることで、免疫を維持することができます。実際、私はコロナ流行前まで「マスクなし」で診療をしていました。日々様々な感染症の方を診察する中で、医師になってから20年以上、病欠は1度もありません。逆に日々マスクの生活になると、コロナに限らず様々なウイルスに接触する機会が減り、ウイルスに対して脆弱になる可能性があります。

しばらく前から私は外出時はマスクを着用していません。感染リスクが高まる室内や人ごみの中では予防策としてマスクをしていますが、適度なウイルス暴露をむしろ歓迎しています。ウイルスに触れながら、発症しないように完璧にコントロールすることは難しいですが、集団免疫の考え方からすると、同調してくださる方が多ければ多いほど、全体の流行は防げると思います。皆さんはどうお考えでしょうか?

来年は「脱マスク社会」になるかわかりませんが、少しでも不安が少ない世の中になることを祈っています。

皆様、良いお年をお迎えください。

 

稲垣耳鼻咽喉科医院