一昨日、とても衝撃的なニュースが報道されました。

「東京都内でことし8月に新型コロナウイルスの感染が確認され、自宅で療養していた50代の女性が、病院から都の保健所に患者の発生として届けられなかったため、療養中の健康観察が行われないまま、自宅で亡くなっていたことが分かりました。」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211213/k10013387181000.html

この事例ではいくつものヒューマンエラーが重なった結果、最悪の事態を招いてしまいました。担当医が発生届を提出しなかったこと、そのことに病院が気付けなかったこと、本人から連絡があったにもかかわらず、病院も保健所も状況を把握できなかったこと。

8月当時を振り返ると病院も保健所もかなりのオーバーワークだったはずですが、そういう時に人はミスをします。個人の力ではミスをゼロにすることは出来ません。それでも取り返しのつかない大きなミス、特に今回のように人命に関わるようなミスはあってはなりません。ミスを最小限に抑えるために、日頃からお互いにカバーできる体制を整えておく必要があります。

病院ではよく、検査の時などしつこいくらいに名前を確認されることがあると思います。「検体の取り違え」もあってはならないミスですので、患者さんには面倒であってもご協力いただきますようお願いいたします。

今回報道されたようなミスは、当院でも起こっていたかもしれません。発生届の提出は医師の仕事ですが、私がそれを忘れたとして他のスタッフが気付いたでしょうか?コロナの検査を実施した場合、件数を報告するようになっています。スタッフに検査のリストを作成してもらっていますので、それを私が確認することで報告漏れを防ぐようにしました。幸いここ3ヶ月当院での陽性例はありませんが、本件に限らず、事故を未然に防ぐ準備を怠らないよう肝に銘じます。

稲垣耳鼻咽喉科医院