久し振りの投稿になります。新型コロナウイルスもしばらく小康状態でしたが、昨日は東京都の新規感染者が初めて500人を超えたというニュースが入ってきました。冬の足音とともに、心配していた「第3波」が押し寄せてきた模様です。再び「ロックダウン」とならないように、今は祈るばかりです。感染拡大を防ぐための「マスク着用」や「三密回避」はもはや一般常識になっており、医院でもその対応が必須となっています。三密の中の「密閉」を回避するためには換気が必要になりますが、寒い冬の間、窓を開け放つことには些か抵抗があります。

当院は昨年、築70年越えの木造医院を建て替え、新しい医院に引っ越しました。その際「換気のスペシャリスト」に設計を依頼したため、室内換気に自信が持てる医院が完成しました。コロナ襲来を予見していたわけではありませんが、逆に完成までの1年間を過ごした僅か8坪の仮診療所(密が避けられない状況でした)の時に重ならなかったのは不幸中の幸いです。

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部でも職場のクラスター対策について、テレワークや時差出勤の推進と並んで効率的な換気について具体的に検討しています。それによると「密閉」や「密集」の状況についてCO2濃度センサーを用いて確認し、換気するのが良いとされています。特にこれから寒さが本格化する中、効率よく、適切な換気を行うために換気状況を「見える化」することはとても重要です。当院にもCO2濃度センサー(写真)が複数設置されており、換気扇と連動しているため窓を開けなくても自動的に十分な換気が行われるようになっています。真夏の猛暑の時も大変役に立ちましたが、真冬の寒さにも威力を発揮してくれるだろうと期待しています。

10月15日の朝日新聞夕刊によると室内CO2濃度と換気の目安は、

1000ppm以下:良い。この状態を保つ。

1000ppm~:やや良い。受け入れられる濃度。時々一部の窓を開けることも良い。

1500ppm~:悪い。30分に数分程度窓を全開。またはその部屋の使用を控える。

2500ppm~:非常に悪い。常時窓を全開。または使用を控える。

3500ppm~:極めて悪い。その部屋の使用を控える。

とされています。人が密集すると吐く息に含まれるの二酸化炭素が拡散し、室内のCO2濃度が上昇します。外気に含まれるCO2の平均値は400ppm程度ですが、ライブハウスでの実証実験では開演1時間で6000ppmに達したり、一時的に10000ppmを越えたりするケースもあったそうです。因みに当院のセンサーは私の知る限り1000ppm以上を示したことはありません。

これからの季節、やみくもに窓を開けて換気するよりも、モニターで状況を確認しながら必要十分な換気が出来れば、安全かつ寒くない待合室をご提供出来るはずです。

感染対策に十分配慮し、皆様に安心して受診していただける院内環境を整えたいと思っています。

稲垣耳鼻咽喉科医院