鼻がのどに流れる
・後鼻漏
鼻水がのどに下りてくることを後鼻漏(こうびろう)といいます。風邪をひいた時に一時的な症状として現れることもありますが、慢性的にのどに下りた鼻汁が痰のようにからみ、不快な咳が続くこともあります。
慢性的な後鼻漏の原因として、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、慢性上咽頭炎などがあり、それぞれに応じた治療を行います。
・慢性上咽頭炎
上咽頭は鼻腔の一番奥、鼻とのどの境目にあたる部分です。上咽頭はウイルスや細菌の侵入を最初にキャッチする場所であり、風邪で最初に攻撃されるのが上咽頭ということになります。上咽頭には免疫システムがあり、免疫がしっかりしていれば風邪はすぐに治ります。ところが寝不足や体調不良で免疫力が低下した状態ですと、風邪は長引いて慢性化することがあります。
慢性上咽頭炎になると、様々な自覚症状が現れます。後鼻漏、咳、咽頭痛、咽頭違和感、頭痛、肩こり、全身疲労感、めまい、などです。理由は上咽頭が免疫機能の他、舌咽神経や迷走神経(自律神経)といった重要な神経や、リンパ管の密集地帯であるからです。
慢性上咽頭炎は上咽頭を内視鏡で観察しながら、綿棒で擦ることによって診断が可能です。難しいのは、見た目だけでは正常と区別がつきにくいこと。他の病院で「異常なし」と言われた方でも実際に上咽頭を擦ってみると、出血や粘液の分泌が多量に認められるケースは多々あります。
治療は、上咽頭に1%塩化亜鉛を染みこませた綿棒を擦りつける「上咽頭擦過療法」(Epipharyngeal Abrasive Therapy=EAT【イート】)という処置を、概ね週1回のペースで続けて行います。最初は強い痛みや出血を伴うことが多いのですが、早い方だと数回、多くの方が10回程度の治療で症状の改善を自覚されます。治療を続けるうちに、痛みや出血は少なくなってきます。
「つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい」(堀田修著 あさ出版)という本が出版されています。長引く後鼻漏、咳、咽頭痛、咽頭違和感、頭痛、肩こり、全身疲労感、めまいでお悩みの方は、ぜひご一読の上、治療を受けられることをおすすめします。