コロナ禍と小児予防接種
病児保育室で保育士として働くようになり、子どもの健康に関する情報には日々目を向けるようになりました。そんな中、今般の新型コロナウイルス感染症の流行によって、小さなお子さまがいるご家庭では「こんな時は予防接種も延期したほうがいい?」という不安や迷いがあると知りました。
各所の通知などを確認してみると、日本小児科学会が発信している一般向けのQ&Aでは「乳幼児健診や予防接種の実施にあたってはいつも以上の配慮が必要になるが、可能な限り予定通りに実施すべきと考える」という旨を提言しています。
WHO(世界保健機関)では、医療現場ひっ迫の状況を鑑みて「はしかなどが流行していない国では予防接種を中断するよう求める」という旨の指針を出す一方、ワクチンで予防できていた感染症が復活してしまう懸念から「子どもたちへの定期的な予防接種は継続を優先、あるいはスケジュールを調整するように」と求めています。
そしてユニセフ(国際連合児童基金)は先月「各国で一部の予防接種計画が遅れており、はしかの大流行がおきるおそれがある」という旨の発表をしています。
「大流行の可能性あり」と聞くと不安に駆られますが、感染力が強い感染症ははしかだけではありません。感染力はそれほど強くなくても、罹ると重症化しやすい感染症もたくさんあります。これらの感染症に有効なワクチンは今や多数にのぼり、日ごろから予防接種の過密スケジュールを頑張ってこなしておられるお父さんお母さんが多いと思います。とはいえもし、コロナ感染防止のために通常の予防接種を延期されているとしたら、ワクチンを未接種のままにした感染症が仮に流行してしまった場合、危険と不安にさらされてしまうのではと危惧します。
有効なワクチンがない新型コロナウイルス感染症が流行したことによって、ワクチンのありがたさをあらためて確認した思いから、不安を抱える皆さんの判断の一助になれたら幸いです。