昨年、一昨年と、新型コロナウイルス感染症流行による直接的影響か、あるいはマスク着用が定着したことによる間接的影響か、その前年まであれだけ流行に敏感になっていたインフルエンザが全くと言って良いほど流行しませんでした。海外では今年に入ってからの流行が複数報告されています。これから冬を迎える日本では、果たしてどうなるでしょうか。

注意をするに越したことはありませんが、全く予測が立ちません。2年間流行しなかったことで集団免疫が落ちている懸念はありますので、予防接種をお勧めします。(10月12日現在、当院の予約枠は残り僅かとなっております)

新型コロナウイルスの流行で「抗原定性検査」が一般に認知されるようになりました。現在は薬局やインターネットでも購入できますので、実際にご自分で検査された方も多いのではないでしょうか。この「抗原定性検査」、医療機関では以前からインフルエンザの診断で使用していました。昨年頃からはコロナ・インフル同時判定可能な検査キットも出回るようになりました。当院では今冬の同時流行に備えて、この「同時検出キット」を備蓄しています。

コロナ流行前から訴えていたことですが、インフルエンザ流行期に発熱した(特に家庭内に陽性者がいる)場合、診断を受けるために病院を受診するのではなく、常備薬(解熱鎮痛薬等)を使いながら症状が回復するまで自宅療養することが当たり前の世の中になって欲しいと思っています。病院を受診するのは高齢者や症状が重い方に限定するのが望ましいと考えます。実際、コロナ第7波では9月下旬まで発生届の提出が義務化されていたため、自己抗原検査や民間PCR検査で陽性判定が出た方の電話診療を数多く行いましたが、処方が必要だった方は2割程度でした。逆に言えば、8割の方が常備薬のみで回復したことになります。

とは言え、「会社(学校)に提出するための証明が必要」というご意見があることも理解できます。そこで提案なのですが、現在医療機関に限定されている「コロナ・インフル同時検出キット」の民間販売を認可して欲しいです。また検査結果がリアルタイムであることを証明するための「電波時計」(手動変更不可)をセット販売し、陽性判定結果と一緒に写した写真を「陽性証明」として認めてもらえれば、余計な医療機関への受診抑制や具合が悪い方への即時対応、職場(学校)での流行予防に繋がるのではないでしょうか。

時計メーカーの皆様、検査キットと同じくらいのスティックサイズの電波時計、安価で作成できませんか?検査キットメーカーとコラボして販売すれば売れると思いますが如何でしょう。

稲垣耳鼻咽喉科医院