新型コロナウイルス感染症は第5波のピークを越えましたが、一方で感染後の後遺症に悩む方は増え続けています。

9月25日に「市民健康づくり講演会」がオンラインで開催され、「新型コロナウイルス感染後遺症 その実態と対応について」というテーマで、聖マリアンナ医科大学病院総合心療内科の土田知也先生の講演を拝聴しました。(私は医師会担当者として司会を務めました。講演会の内容はこちらから10月25日までご視聴いただけます)

土田先生は年初より感染後遺症専門外来で多くの後遺症に悩む患者さんを診察してこられ、そのデータをもとに後遺症のタイプや治療、経過について解説してくださいました。

コロナ後遺症は感染後4週間以上症状が続き、その他の原因が明らかでない場合と定義されるそうです。

症例数が多いのは倦怠感、呼吸苦、嗅覚・味覚障害などで、その後の経過は症例により様々ですが、全体のイメージとしては症状の変動を認めながらも少しずつ改善に向かうようです。

耳鼻咽喉科医として興味深かったのは、当院でも行っている上咽頭擦過療法(EATまたはBスポット治療とも呼びます)がこれらの後遺症に有効であるという見解です。日常診療でも同じような症状の方にEATが有効なことは経験済みですが、コロナ後遺症でも有効性が示されたことは今後の診療に大変役立ちます。

コロナ後遺症とワクチンについてもお話しいただきました。コロナ後遺症とワクチンの副反応には共通点もありますが、ワクチンの副反応の方が回復が早く、またワクチン接種によって後遺症が半減するというデータもあるそうです。感染後遺症に悩む方がワクチン接種後に症状が改善したという例もありました。

現在ワクチン接種は進行中ですが、接種を悩まれている方はこれらの点もご考慮の上、早目の接種をお勧めしたいと思います。

稲垣耳鼻咽喉科医院